成功ということ

ある成功者から話を聞いた。
他分野へ乗り出す心構え。

欲を捨て、これは赤字かもしれないな、と最悪を覚悟したうえで、
部下がやりたいということをそのままにやらせる。
不思議なもので、彼の下には有能な部下が集まる。
それも、事業拡大を図る節目に、である。

カーネギだったか、墓碑に「自分より有能な男を集めた男、ここに眠る」
などと書いているのだ。
件の彼の優れた点は、部下の権限を認めたことだろう。彼の許容範囲内での話だが。

そうすると、彼の幸運は全く偶然の産物のように思えるが、そうでもない。
彼の話を聞くうちに、それは、なにがしかの必然性を感じさせるのだ。
彼の人間性が、有能な人材を集めているのではなかろうか?

彼自身は、いわゆるオタクである。その道では他の追従を許さないが、狭く深い。

でも、彼が育てた樹は大きくその枝を広げている。
彼自身は私の見る限り、至って純朴な、田舎のじいちゃんである。
多分大方は、一地主として平凡な一期を終えたやもしれぬ。
今生で彼は特別な機会に恵まれたのかもしれない。
でも、それを掴んだのは、彼自身の、何か、故なのだろう。

成功するって、きっとそういうことなのだろう、という印象を受けた。