ぼくにはとてもできない

厚生労働省が2013年の「医療施設調査・病院報告」の概況を発表しました。
ざっと斜め読みしてみました。
今日、久し振りに赤とんぼを見かけました。
日本医療にも、秋の気配が漂ってまいります。


http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/13/dl/1-1.pdf
一般診療所も歯科診療所も増え続けています。病院は横ばいです。
ご覧頂きたいのはこの12ページ目です。
一般病院で小児科を標榜している施設がこの5年間で2900から2680に減少しています。
病院産婦人科は1300から1200に減少しています。


2年ほど前、ある病院の経営母体が変わりました。
それまで地域の小児救急、産科を担っていた病院です。

建前上は医療体制は変わらないとしながらも、大幅な人員減に見舞われました。
なぜそうなったか、ここでは問わないでおきます。
注目点は、以前の体制で、小児科若手の当直料が5000円であること。
小児科で救急を受け付ける病院の当直は、事実上夜勤であるのは自明です。
5000÷16時間=312.5円
現在の最低賃金は667円から888円といったところなので、明らかに違法である。
その病院の小児科の若手は、撤退を切歯扼腕、悔しがったという話です。


誠に恐縮ですが、見て見ぬふりで小児医療の充実を期待する方がおかしいと思う。
あまつさえ、小児科無料を唱える方々がいる。


小生の言いたいのは、お金の問題ではないのです。
前述の小児科若手の心意気に、応える何かを地域の受益者はしたかということです。
ある病院の小児科が無くなったなら、他に行けばいいや。
すると、残った病院が地獄になるのは経験済みです。
小児科をフォローするため、内科医が動員されます。
すると、外科系は何をしているんだ、という話になります。
病院全体の雰囲気が怪しくなってまいります。
すべて経験済みの話です。目新しくもないです。


小児科医が過労自殺しても、まともに労災認定すらされないような国。
(あの件はすったもんだの末、結局和解になったとか。)
そこで、福島で産科医を続けているK先生に心底頭が下がります。
故佐藤章教授が妊産婦死亡の遺族を支援する活動を立ち上げたのは周知のとおりです。
ぼくにはとてもできない