NO MUSIC, NO LIFE

佐久間正英さんと言う方は、頭の片隅に残っていた。テレビも、最近は文字媒体もろくに見ない私が。

何しろ神様みたいな人で、彼がプロデュースすれば、何でも売れちゃうみたいな。
そういう、ミダス王みたいな人、という認識だった。
これは失礼な言い方で、彼が認めたものは売れるのだ。彼は腕の確かな音楽家であり、それゆえ確かな目を持っていた。


だから、さきほど見た番組で彼が61歳でお亡くなりになっていた、スキルス胃がんで、脳転移で見つかった。
と聞き、なにやら壮大な物語をネタばれで最後からパラパラめくっているような感慨を感じる。

まさに、朝(あした)に紅顔ありて夕(ゆうべ)に白骨となれる身だな。

彼のブログは非常に興味深い内容だった。
人生の最後の時を生きる姿として、実にすがすがしいものを感じた。
また、現在の音楽に対する危機感、問題意識は、その通りだと感じた。
http://akb48taimuzu.livedoor.biz/archives/36616445.html

なにしろ、かってヒットメーカーと言われた人間で生き残っているのはごくわずか。
産業ロックみたいな恐竜たちも、終焉の時を迎えているのだろう。

彼の予言の真意は、そうした売れるための音楽は存在価値を失い、
本当に価値のあるものが生き残っていく。
ただし、それを媒介する人たちには、現世的な栄光も利益も期待できない
といったきわめて現実的な視線なのだ。
それにしても、世界的に見れば、まだ、日本の状況は恵まれているのかもしれない。

思うに芸術と言うやつは、何の役にも立たない。
高校時代、下手なギターを操っていた時、オヤジにひややかに言われた。
おまえ、それで食っていけるつもりなのかと。
限りなく無駄。人体における虫垂みたいなもの。
それでも、それが無い世界とは、随分さびしいものでしょうね。

NO MUSIC, NO LIFE