医療事故調査委員会

医療事故調査委員会の説明会が、各地で開かれているようです。下記で知りました。

http://mric.tanaka.md/2009/02/03/_vol_18_1.html#more

議論を(と呼べる水準なのかは別として)読んでいて残るのは疲労感のみ。

非医療者の側は、きっちり説明さえすれば訴訟なんて起きないと言いますが、部屋の中にいる100人中100人を納得させる説明なんて、オバマでもなければ無理でしょう。

自分たちのしている仕事は、極めて流動的な状況において、限られた情報から可能性の高いストーリーをいくつか説明し、その対処をリスクを納得していただいた上で選択していただくことです。

膵胆道系の内視鏡処置なんて、真面目に説明すれば30分から1時間かかります。日中はそんな暇ないし、御家族も来ないし、話が始まるのは大概夜の7時か8時。今の日本ではその労力に対する医療的対価は全く無いですし。
それでも、説明の後でご親族から「リスクがあるのは分かりましたけど、何かあったら先生を許しませんから」と言われることすらあります。まあ、大多数の方は分かってくれるのですけど。インフォームド・コンセントは医療者の安全を確保しつつ仕事をするのには欠かせませんが、ある種のブラフとか欺瞞なしには成り立たない一面はあるかもしれません。
きっと現場と委員の方々が見ている風景は相当違うでしょうし、理想と実現可能なものも相当違うと思うのです。


一番問題なのは、こうした話し合いが行われていることすら、大方の医療者、そして医療を受ける方々も知らないだろうということです。ふだんの大規模メディアで伝えられているのを見たことも無いですし。



民草が知らないうちに決まりを作って従わせてしまうのが一番手っ取り早くて楽だとは思いますが、結果的に不幸しか産まない気がします。