医者は立ったまま死ななければならない。

井関友伸氏が福祉ネットワークという教育チャンネルの放送に出演された。
見終わった感想。
医者自身が自分たちのことを話しても、社会にはあまり受け入れられないのかな、と。
井関氏みたいな第三者が通訳して、医者がいままであちこちで散々嘆いてきたことが、やっとはじめて社会にある程度伝えられる。
その事実に果てしない脱力を感じる。


同じ病院の中ですら、医者が非人間的な労働環境の悲惨さを嘆いても、間近で見ているはずの看護師や技師、事務すら同情しない。
仕事がきつい、救急当直が嫌だと愚痴をこぼす医者を、スタッフは信用しない。驚くべきことに、院長など上司の医師さえも!!

医者は38時間連続勤務でどんなに疲れていても、笑顔で病棟を闊歩して、冗談の一つでも飛ばさねば成らない。
医者はどんなにスタッフがスカタンしても、決して怒った顔を見せてはいけない。
医者は患者どころかスタッフの思い描く理想像の仮面を被らないと、そもそも仕事にならない。



先の番組の中で、孤軍奮戦しボロボロになった小児科医を見た記者が一言。「このまま辞められた方が先生にとって幸せと思った」
一旦精神的に破綻しかけた地元出身の小児科の医師は結果的に辞められなかった。地元グループの活動の甲斐あって、小児科医は増員の見通しと言う。
このご時世にはあり得ないくらいのハッピーエンド、かな。

厚労省大臣は、市民グループには感謝すれども、小児科医には感謝の言葉は無い。
(まあ、壁に貼られた「先生、有り難う」見るだけでも、なんぼかまし。)
医者は頑張って当たり前なのだ。
医者は立ったまま死ななければならない。
無論、過労死しても労災なんて訴訟起こさないと認められない。医者ってお馬鹿さんでつね。