ある物語の話

いつ、どこで読んだか忘れてしまったが、こんな物語があった。

ある若者が、夏に山の頂上で水を売れば儲かるだろうと考える。
弟(主人公)に片棒を担がせ、水を担ぎ上げる。
山の頂上で兄はユダヤの高利貸しのような商売を始める。
金こそすべての行動を律する、分かりやすいやり方。
炎天下、みんな水筒はからっぽ。
どんなに苦しそうな老人がいても、持ち金がなければ水は与えない。
小さな女の子が十円玉一枚しかもたなければ、コップにちょっと入れるみたいな。

弟は兄の非道なやり口をじっと見ている。
灼熱の下、汗まみれの兄は最後に破綻する。
舌をハアハアさせている犬に、残った貴重な水をぶちまけてしまう。

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この物語に何の教訓があるのかも分からない。
今の自分に失われているのは、水を担ぎ上げるモチベーションのような気がする。