この世の何%?

私には、どうしようもない問題というものが存在します。
ちっぽけな島一つをめぐる国家間のいさかいや、
それが原因で起きる暴動や略奪や
他国で行われている歴史教育や、
悪意に満ちた軍隊が出てくるドラマや映画や
そんなものに対して私が出来ることはないでしょう。
それどころか、自国の報道機関に対しても私が出来ることはないでしょう。
おそらくどこの業界もそうであるように、マスコミにも

  1. 5%の超優秀な方
  2. 15%のまずまず勉強熱心の方
  3. 10%の我慢出来るレベルの方
  4. そして残り70%の、どれにも当てはまらない方

という図式が成り立つのでしょう。
受け入れ拒否報道に関しては、もうどうしようもないな、と笑っています。
中村ゆきつぐ先生のブログ拝見しました。まじめな方だなあ、と思います。これだけのコメントに一つ一つ返答される点においては、間違いなく5%です。
どのみち、勤務医の生活なんて、誰も想像もできないでしょう。
携帯電話が鳴ります。
誰それさんの抗生剤の点滴が明日からありません、とナースが言います。
それは指示書にちゃんと「本日で終了」って書いたからね、と言って切ります。
また携帯が鳴ります。
誰それさんが外出したいってきます。
だめです、と言って切ります。
また携帯が鳴ります。
誰それさんが、退院したいと言います。言う事をききません。
そこで私は諦めて、分かった、15分後に行くとため息をつきます。
家族に、食事が出て来たら食べて、お金を払って、タクシーを呼んで店から家に帰る様に言い残して。
食べられる事の無かった、でもお金は払うことになる私の食事。
それがいつもの休日の光景でした。
かくのごとく、命に関係のない様な些末なことが、24時間休み無くふりかかってきます。
これが命に関わる事だったら、どのようになるかは、ご想像に任せます。

そんなことも分からないで医者になったのかとお笑いの方もいるでしょう。
そうです。私自身、医療スタッフたち、患者さまたち、およそこの世の人々すべてが例の図式

  1. 5%の超すばらしい方
  2. 15%のまずまずの方

以下略

に当てはまってるなんて思いもしなかったです。
でも、PHS、携帯が生活の一部となり、状況は確実に暗転しました。
独身で若い頃なら、日がな1日病院で過ごしたり
医局のソファーで目覚める朝も乙なものだと思いました。
医者ってこんなものだろうな、と思って25年やってました。
自分の時間もない
医者以外の友人もいなくなった。
医学書以外の本も読まなくなった。
趣味もなくなった。
気がつくと、心の中の草花は枯れ果てていました。
そういう状況でも、30%位の人は頑張っちゃうんだな、と想像します。
多分私は「残り70%の、どれにも当てはまらない人」でしょう。


お前らは、命を背負う商売をしているんだ。
そんなくらい、当たり前の話だろう。
そう思っている方は、世の中に沢山いらっしゃるでしょう。
何パーセントぐらいでしょうか?