今ふたたび日本のがん治療を問う

がん治療というのは難しい
がん登録の重要性を訴える番組を見た。(これが肝)
ランキング本の問題点とは、チェリーピックングにつながるだろう。
某女性キャスターは「どこの病院にいけば安心なのか?」と語ったが、
放送で語る言葉としては、ちょっと安直な気がする。
どこか、彼女の言葉は他人的なのだ。
それ以外、小宮山さんをふくめ、その他のコメンテーターは立派な気がした。
どうも、某女性キャスターは、、、これ以上の批判はやめとこう(笑)。

世の中には、まれな病気がある。
あるいは、早期診断が困難ながんも多い。
ふつう、われわれ医師は、患者さんの訴えを確率で推測し、診断を試みる。
後医は名医という言葉もある
個人的な経験では、前医をけなす患者さん・ご家族とは、あとあとトラブルに
至る可能性が高いと思われる。

ただ、私はけっこう楽観的である。
医療技術、すなわち診断にかかわる機器も、治療薬剤も、私が医師になった時代とは
比べ物にならない。
いつもお世話になる病院の若い先生方は非常に熱心である。
提案だが、やはりがんは限定した施設で治療すべきだが、
そこで得られた経験や知見を、現場にフィードバックする機会をもっと設ける
べきであろう。

いい医者を求めて、転々とするのもいいだろう。
でも、必要なのは、診断技術の向上とネットワーク化。
先ほどのキャスター批判と矛盾するようだが、
この疾患はこの病院、というのを一次的な医療機関にアピールすべきだろう。
だって、自分が診断したがん患者の9割は、自分ががんだと思って
受診したわけではないもの。
かって2次的医療機関に勤務して、今は1次的な機関に勤務するものの印象
としては、医療機関同士の信頼関係も重要かな、と。
医者同士の、かな?


標準的な治療が定まっていないがんもあるわけだし、
ドラッグラグも解消すべきだろうし、
がん患者に対する心理的なフォローを専門とするスタッフを病院が
抱える余裕も必要だろうし。

がん細胞というのは、基本的に宿主のDNAと同じ遺伝子を持つ細胞である。
だからこそ、治療が難しいといえる。
まあ、根本的な対策とは、早期診断であろうけど。

中村祐輔氏がシカゴに移った話を初めて知った。
新薬の開発には多大なリスクを伴う。
イレッサ訴訟の件でも、それで多大な利益を享受している患者さんを知っている
だけに、その意義を理解できない。
理解出来ないというのは言い過ぎだが、薬には功罪があり、抗がん剤はその点
において、非常に微妙なのだ。経験が必要だ。そこを理解してほしい。
難しいことなのだ。
実際に、かって患者さんから「実験でも何でもいいから、効く薬を使ってほしい」と懇願された。
現実には、非常に難しい話だ。
その理由を考えてほしい。
堀田氏がいったように、今の日本の医療者の努力が患者さんの幸福感につながらないなら
それはとても不幸な話と思う。
それは根源的にはがんが不治の病であり、自己との闘いだからだと思う。
そこで、哲学的な知恵というか、人生観が重要に思う。


長生きすれば、誰でもがんになりますよ。うふふ。