羽ばたき機

羽ばたき機という飛行機の一様式がある。
オーニソプターという、あれである。
古くはダビンチが構想した。
イカロスも蝋で固めた翼で飛んだ。
鳥や昆虫が飛んでいる様子を観察した結果であろう。
ライト兄弟が飛行する前
オットー・リリエンタールとかパーシー・ピルチャーとかが本格的に飛ぶ前、羽ばたき機は人類の飛行への有力な手段と思われていた。


実際に人間が羽ばたき機で空を舞うのは困難である。
人間の体重を羽ばたき翼で飛ばすには
1)機体の強度確保が、木とか竹とか金属では困難
2)翼を上下動させるには無駄に強力な機関が必要
3)もしそういう機関があったとして、羽ばたきで
生じる振動により、搭乗者は目をまわしてしまう。

ライト兄弟は賢明であった。羽ばたき機を捨て、
固定翼とプロペラの組み合わせを選択した。


ラピュタ宮崎駿がオーニソプターを持ち出したのは
その辺を理解したうえでの執念というか、盲信というか
「当たり前の飛行機飛ばしてもしょうがないでしょ」
という発想なわけで。


以前、鳥人間での福森氏のチャレンジを称賛したが、
あれは想像力の真摯な遊びというか、人力(脚力)で
振動とバランスと操縦性をすべて実現させた驚異の
飛行を成し遂げたからだ。
過去の大会での豊富な経験がなければ、あれは不可能だ。


あるとき、あるところに名臨床医がいた。
彼が処方する薬は、たとえそれが乳糖のみであっても
絶大な効果をもたらしたという。
小生は砂糖玉をレメディーと称して使用すること自体は
決して有りうべからざることとは思わないが、
それが許容されうる条件、というものがあると思う。


1)処方者が一般的な現代医療において十分な経験を積んでいること
2)対象とする疾患が、現代医療においてまったく
手の施しようがないものであり、他に有効な手立てのないもの
3)遊び心が許される状況


それらが客観的に満たされていればOKと思うのです。
ホメオパチーが不当に弾圧されていると訴える方は
どこかでご自身の主張を都合よく曲解され、思考が停止
することがなければよいのですが。