中原医師への花束

最近、瞬間的に強烈に暗い気持ちに陥る発作は少なくなりました。
たまにはあるが、やりすごせる程度。

極彩色の現場から見れば、今の職場は楽です。それでも、そんなに暇だとは感じませんし、それなりに忙しいです。TV見る時間も無いし(W杯は別)、読みたい本は机に積みあがっていますし。今もって、どうしてあんな風に働けていたのか、我ながら理解できません。

ネットを見る時間は激減しました。書き込むことも殆ど無いでしょう。どうあっても理解できない人間に説明するのは困難なことです。それでも書くことに意味はあるのでしょうけど。
おそらく、日本の医療を今の形のままで維持するのは困難でしょう。国民皆保険もいずれ潰れるか有名無実化するでしょう。消費税が上がれば、損税を吸収できず、医療機関はばたばた潰れます。医療設備への投資が不可能になります。高齢者が高次医療機関のベッドを占拠し、麻痺せしめます。よくなる希望はほとんどありません。というか、超高齢化社会を迎えるのにもかかわらず莫大な構造的財政赤字を抱える、日本社会そのものに希望が持てません。
そんな現場をなんとかしようと、頑張っている人がいます。僻地にしろ、街にしろ、基幹病院の雰囲気は20年前と比べるすべもありません。過酷な現場で踏みとどまっている戦友たちに、忸怩たる思いです。


まじめで、現場を離れられなかった医師。そして心を蝕まれ44歳の若さで自ら命を絶った医師。
そんな中原利郎先生の過労死裁判が最高裁で和解したようです。
http://www5f.biglobe.ne.jp/~nakahara/index.html
意義深い内容と思われますが、中原先生は帰ってきません。


いろんな所で、医療に文句を言いたくなる方がいらっしゃるようです。事情は様々で、お察しいたします。
ただ、多くの基幹病院で、内科、外科、小児科、産婦人科の現状は過酷なものです。いろいろ言いたい気持ちは分かりますが、どうか一言「忙しいのは分かった」と同意してください。その一言が、中原先生への目に見えぬ花束になると思います。