画期的??

http://s03.megalodon.jp/2009-0714-0021-08/www.pref.nara.jp/dd_aspx_menuid-9938.htm

県立奈良病院勤務医師の時間外労働裁判の判決について

知事殿のコメントが興味深いです。
勇気あるお医者さんによる画期的な訴訟、とのことですが、「なんで今までお前ら黙っていたんだんだよ」ということですね。

実態判断が薄い、ということは「当直と言えど、大部分の時間は睡眠しているわけで、実態は連続業務にあたらない」といいたいのでしょうが、その辺は巧みにぼかしていますね。勤務医は呼ばれない時間本当に熟睡して翌日の勤務への鋭気を養い得るのでしょうか?深夜帯に1時間毎に軽症患者受診で5回呼ばれても、最低4時間は睡眠が取れた計算になります。では実際当直医はどのくらい睡眠できたでしょう、という話です。

他の病院で時間外手当という対応はしていないのに、奈良病院だけ、、ということですか。ほかの病院、世間一般の自治体病院が異常かどうかは、小生には分かりません。ただ、現実的な対応と言う言葉ですが、ほんの5年ほど前まで勤務医の増員を拒否して来た公立病院を多々見聞きして来ただけに、赤信号も皆で渡れば怖くない風に聞こえます。


医者の時間外勤務ということは、どういうことなのか、ということですが、世間一般の宿直業務が如何なる物か、小生は正直知りません。ただ、並列では論じ得ない事をいけしゃあしゃあと語る事を、世に詭弁と申します。知事殿が勤務医の当直業務がいかなる物か、頭の上では理解されている様なんですが、実態は如何なるものか本当の意味でご理解されてますかね。まさか知事殿に産科医の当直業務に付き合えとも申し上げられませんし、説明は極めて困難です。その辺の意識の相違に昨今の崩壊の源があるような気がします。


雇用契約があるということは指揮命令下にあるかどうかで判断されます」ということですが、今まで長い間、殊若手に関しては医者個人と病院の契約でなく、医局と病院との暗黙の了解があって、それに医師が従っていたように思います。つまり現場の医師にとって、ボスは教授であって首長ではない。これほど知事殿にとって我慢ならない話は無かったと思います。
が、しかし医局制度が衰退して、以前の様な魔法が通じなくなりつつあります。金の卵を産む鶏は引き裂かれました。昼夜問わず黙って働く若い医者が毎年送られてくることはありません。だからこそ、「労働者としての勤務医の立場」がいかなるものか、今一度見直さなければならないと思います。自治体病院なら当たり前の単純な話ではありませんか。
換言すると、この時期だからこそ画期的な訴訟が起こされたと言うべきでしょう。
公的病院勤務医の給与体系を決定する主体は無論地方自治体にありますが、医局のしがらみで口を閉ざされていた医師達がようやく正当な権利を主張しはじめただけです。いかに今まであり得ない事を当たり前と思っていたのか。事に当たる方々の虚心坦懐な対応を望みます。