拝啓 吉田勝 様

現場から:荒涼とした医療
と題された毎日新聞の記事を拝見いたしました。
http://s03.megalodon.jp/2009-0618-2324-40/mainichi.jp/area/kanagawa/news/20090613ddlk14070279000c.html
老衰と脱水症状で救急搬送されたお父様の件、胸が痛みます。どこの病院もいっぱいいっぱいで6件目で入院できた事、誠によかったですね。
胃瘻を作られたとのことですが、ご自宅で介護されるのでしょうか、それともどこかの施設を探されているのでしょうか。最近は老人病院でも胃瘻患者を受け入れられない状況です。国は胃瘻患者の保健点数を削減し老人病院をいじめて潰そうとしています。つまり「胃瘻患者様はご自宅でご家族がお世話しなさい」と言っている訳です。ちなみにアメリカで胃瘻患者を施設に看てもらおうものなら、月に自己負担100万円くらい、あるいはもっとかかるでしょうか。米国の一般のご家族は胃瘻など作られたら破産決定ですから「自分でものを食べられないというのは、生き物としての体を成していない」と考える訳です。誠に荒涼たる有様です。
さらに、国は急性期病院の在院日数削減にも躍起になって、病院をいじめています。主治医殿が転院先の話をされたのは、その割を食ったのでしょう。誠に同情いたします。
小生も、転院を勧めてご家族に取り囲まれた経験があります。転院を勧めるのは勤務医にとって非常にストレスです。できればそんな話などしたくはない。でも新しい患者さんは出現するわけで、比較的落ち着いた患者さんを退院させなければ入院患者様は受け入れられない訳です。ちょうど吉田様が「入院拒否」されて悲しい想いをされた場合のように。
延命処置の希望をされないご家族は、全体の1割くらいでしょうか。そういうご家族が存在するゆえ、無条件の延命処置は出来ません。久方ぶりに変わり果てた親御さんを見てショックを受けたご家族に無粋にもそういう話をしなければなりません。

ここで提案しますが、吉田様には毎日新聞紙上にて以下のご提案をされることを是非ともお勧めいたします。

1)急性期病院は、寝たきり高齢患者様を入院させたら、ご家族が納得されるまで退院をお勧めしてはならない、
2)経口摂取不可能な方は100%胃瘻を作るべきではないか。
3)寝たきり高齢患者様に延命を希望しないのは子として不義であり、断固糾弾されるべき態度であり、決して許してはならない。

末筆ながら吉田様のお仕事の益々の充実とご発展をお祈りいたしております。