DPCの弊害

メタストロンという薬があります。
前立腺がんをはじめとする骨転移の痛みに、すごく効果のある薬です。専門家に言わせると「造骨性の転移には効くが、溶骨性転移にはあまり効かない」らしいのですが、消化器系の骨転移にもそれなりに効果はあります。
ところが、落とし穴があります。最近DPC(診断群分類包括評価)という制度が始まり、大病院は軒並み導入しています。何故かというと、今までの出来高払いでは急性期病院は生き残れなくなる様に点数設定されているからです。メタストロンを使用可能な病院の多くはDPCを導入していることでしょう。ところがDPC対象病院でメタストロンを使うと大赤字になるのです。
http://blog.m3.com/diario/20080223/1
放射線科のお仕事日記: living in a garbage can様)
放射性核種を扱うのに厳重な施設も必要ですし、多大な説明時間も必要なのに、手技料めちゃ安ですか。「私って難民患者の相手をしつつ病院の赤字を増やしているだけですよね。」との言葉に実感がこもります。苦しむのは、患者と担当医です。
DPC制度が医療費抑制を目的とするなら、メタストロンみたく高価な治療は目の上のたんこぶでしょうから、この矛盾が解消される見込みは薄いように思います。
末期がん患者さんに良い治療をするには、なかなか厳しい時代です。