釈明は不要であります

どこかの国の首相が、医者には社会的常識がかなり欠落している人が多い、とおっしゃったらしい。
彼は大層なお金持ちで病院もお持ちらしく、何百人も医者を扱う立場らしい。医者達を使う立場上かどうかは判らないが、どうも非常識で価値判断が違う医者が多いと感じるらしい。ご苦労なことだ。
ちょっと心配なのは、彼の所有する病院の勤務医達がこの発言を聞いてどう思うか、ということだ。
彼の言は、平たく言えば、医者どもを孤立せしめ、社会から叩かれるようにしむける内容だからだ。この世に起きる矛盾の原因はすべて常識とモラルに欠ける医者の責任であると。彼の所有する病院、さらには彼の国の医師達のモチベーションが下がらないことを切に祈る。

彼の国でも、産婦人科とか小児科の先生が過酷な勤務や訴訟故、随分少なくなったらしい。お気の毒な話だ。彼がではなくて、彼の国の住民が、だ。
逃げた先生には常識がないのだそうだ。いうなれば敵前逃亡なのかな?
その国で最近、過重労働で自殺した小児科医師に関して裁判があったという。判決では、「勤務と鬱病の因果関係はあるけど、そのくらい働いている医者はごまんといるし、自分で仕事やめない医者が悪い。自分の身は自分で守りなよ。」と裁判官様はおっしゃったらしい。良く分からないけど。首相と裁判官様と、どっちが正しいのだろう?


その後彼は「まともなお医者さんが不快な思いをしたというのであれば、それは申し訳ありません」と言ったらしい。
そんなこと言うくらいなら、最初から言わなきゃ良いのに、と思う。彼の国の首相のことが真剣に心配です。