カブトムシ

上の息子が飼っているカブトムシが弱ってきた。食欲がめっきり落ちている。

「もう死んじゃうの?」
「うん。もう秋だからね。生き物の決まりなんだ。」
「カブトムシってどうして出来たの?」などと難しい質問をする。親父が困っていると、
「あ、人間が寂しいから、神様が作ってくれたんだ。」
「面白い考えだけど、カブトムシは人間がうまれるずーっと前からいたらしいんだ。」
「ふーん。じゃあ、人間ってどうしてできたの?猿からできたの?」
「いろんな考えがあるんだけど、猿と人間のご先祖様は同じらしいんだ。
でも、猿をいくら飼っていても、人間にはならないんだ。
どうして人間になったか、誰も分からないんだ。」

「じゃあ、カブトムシのお医者さんっていないの?
お父さんはカブトムシを治せないの?」
「カブトムシは人間とはかなり違うからなぁ。」

こうして秋の夜は更けていくのです。