マタイ受難曲

最近はこれを聴きながら物思いに耽ります。ドイツ語にそれほど明るくないので筋を明確に理解できるわけではないのですが、最後の晩餐の席でキリストがユダの裏切りの予言したり、逮捕されピラトの裁判にかけられたり、民衆が極悪人バラバの方を無罪と叫んでキリストの有罪が決まったり、キリストが神の沈黙を嘆いたり、とのお話が展開されます。キリストの処刑後天変地異が生じ、民衆は彼こそが真の聖人であったことを知ることになります。


さて、つい2月頃当ブログでも書きましたが、
http://d.hatena.ne.jp/haohao_x/20080124
M厚労大臣は「天からお金が降ってこなければ、医者なんて増やせない。もし増やしたら、医者は路頭に迷うことになる」とホームレス医師の出現を予言されました。思えば、ずいぶん勇気づけられる言葉です。もちろん、真意としては「財源なしに対策を立てられない」でしょうし、最終的な判断をするのは「世論」の側であると言いたかったのだと思います。
それが、最近は手のひらを返したかのように「医者を増やす」とのことです。もちろん今回は、具体的な財源の話には一切触れていません。選挙がもうすぐ来ます。

つまり、選挙対策はするけど、無い袖は触れないので、医者の皆さん、泣いてください、ということでしょう。政府は重い腰を上げましたが、素直には喜べない話です。

率直に何度も言いますが、当方医業で大もうけしたいとは露程も考えません。ごく当たり前に食っていけて、住む所があって、高い医学書をたまに買えればそれでいい。勤務医の非人間的な処遇を何とかしてほしい。もちろんホームレスは嫌だ。

いずれにせよ医者が増え始めるのは10年ほど後からなので、ホームレス医師が出るのは相当先の話かもしれません。それまでこのままの態勢で私の心身が持つとも思えませんし。

当面、医療でトラブルが起きれば医者を十字架にかけ、少女殺しの極悪人が処刑されれば異議を唱える、という「世論」は変わる見込みは無いでしょう。マスコミの方々も「世論」に反する報道なんてしたくないでしょうしね。

そういった人たちが、天変地異が生じなければ分からないほど愚かとは思いたくはないのですが。どんなもんでしょうか。