急性期病床麻痺

2月ごろ、寝たきりだけど、とりあえず落ち着いた患者さんをどこに返すかで、本当に苦労していた。
http://d.hatena.ne.jp/haohao_x/20080227

老健なり療養病床なりで急性増悪し、救急車で当直帯に運ばれてくる患者さんが多い。
満床ならお断りも出来るが、1床でも空きがあれば、受け入れざるを得ない。
高齢の誤嚥性肺炎は、挿管ギリギリの状態が結構ある。
なんとか粘って状態が改善したとして、返す所がない。
送り元の老健は、状態の悪化を理由に引き取りを拒否。
療養病床は、区分の変更などで、引き取ろうとしない。
行き場をなくした患者さんを抱え、3ヶ月などはあっという間に過ぎる。
やっとの思いで退院させたら、1ヶ月もしなうちにまた悪くなって入院。
以下、振り出しに戻る。
それが、事実上、お亡くなりになるまで続く。

1日単位で在院日数を減らしたい管理者から見れば、目の上のたんこぶな訳で、
院長の怒りは必然的に主治医への苦言となる。
家族に引き取りを相談して、「もしあなた方や子供さんが急病になったとして、救急病院がご老人で埋め尽くされて、入院できなかったら、悲しくないですか」
などと道理を説明して悪役になるのは、主治医。

急性期病院から医者が逃げる理由はこの辺のストレスにもあると思う。

最近、療養病床削減の方針が変更されたらしい。
それは結構なことなのだが、高齢者は増えていく一方。

2次救急病院の医師の主観的なものの言いを許容するか、
療養型病床いじめをやめるか、
高齢者を在宅で見る世帯の税金を引き下げるか。
夜間の病棟スタッフを3倍増やすのは、必然的前提。
「開業医潰し」よりも「勤務医がおいしい職場」にしないと、
若い勤務医はニッチさがして中田氏よろしく旅の人となる。

いずれにせよ何かしない限り、医療崩壊は順調に進む予感。