借りるということ

最近話題になっている「借りぐらしのアリエッティ」という映画を見てきました。息子たちと配偶者と。
ネット上ではいろいろ批判はあろうかと思いますが、一家そろって幸せな気持ちで家路につける映画なのは間違いないです。地味な傑作です。小学生くらいの子供がいるなら、迷わず劇場で見るべきです。帰りにソフトクリームでも舐めようものなら、家族の貴重な思い出になること受けあいです。
自然描写がすばらしい。表面張力とか、力学的なバランスとか、はんだごてとか、理系の感性が感じられます。
小人たちの質素で豊かな暮らしぶりが3〜40年前の生活を思わせていいです。


個人的な感想ですが、borrowとstealの境界は何だろうかと。かなり微妙な問題をはらむ可能性も重々ありますが、borrowを許さない生きづらさ、というのはここ最近のものでしょう。実際にご自宅の砂糖つぼの角砂糖を数えたり、ティッシュの残り枚数を数えたりする人は、あまりいないと思います。さすがに息子どものトイレットペーパーの消費量に関しては、雷を落としたところですが。


最近、殺虫剤耐性のゴキブリが増えているらしいです。バルサン薫蒸やエタノール直撃で死なないらしいです。人間はゴキブリを忌み嫌い、あの手この手で駆除しようとした結果、そうなったらしいのですが、ゴキちゃんたちが悪さをするとしても、実際どの程度の実害があるのか、小生には分かりません。見た目が気に入らない、存在が許せないという人間のエゴがモンスターを作るのかも知れませんね。
ま、小人たちを「素敵な愛すべき同居人」という視点で見れない人とは、議論が噛み合うはずもないと思います。


考えてみれば、我々の体なり生命も地球からの借りものですしね。
氏んだら我々を構成する炭素なり窒素なりカルシウムはどこかの植物に吸収されて、野生動物が食って、それから〜。。。
その元素達も、原始の星々の最期の爆発で生まれたらしいですし。


かりぐらしの究極の姿が、団塊の若い彼らの夢みた共同体でしょうか。(滅びゆく種族のメタファですね。)その夢もとうに潰えました。我々は、せめて、つつましやかにいきましょうか。