地域医療再建の実態

大学病院の医師が地域病院に来た。地域の医者を助ける名目だが実態は違う、みたいな話をmedtoolz先生がしています。
http://medt00lz.s59.xrea.com/wp/archives/769

大学病院の一部の医師は、地域の病院のことをこう考えているようです。

こいつらはカルテもろくに書かないし、必要な検査もしてない。
日々きちんとした医療を実施している僕たちが最善の医療をしよう。


その瞬間に地域病院の医師の存在意義は喪われます。大学病院には大学病院の、地域病院には地域病院のリズムがあるものです。
高齢の寝たきりの患者さんに何かの異常を認めた場合、何かの理由を探し、それを直ちに追求するのは確かに正しいし、大事なことだと思います。
無意識のうちに大学病院の医師が正しく、地域病院の医師が劣っているという構図が出来上がるとどうでしょう。
短期的にみればよさそうに見えますが、長期的にはよくないです。
大学からの若い先生が地域に残る、と言い出せば話はちがうのでしょうが。


かって医局制度のもとでは、若くて鼻っ柱が強くて生意気な若手医師が、老練な古武士のような医師のもとに送られました。
不十分な旧式の医療器械、少ないスタッフ、高次病院への搬送のハードルの高さ。
若手医師は、大学で通用したロジックが通じないことに徐々に気がつくケースもあったことでしょう。
僻地には僻地の戦い方があります。仔細な事情は、それなりに骨を埋めなければ分からない物です。

地域医療崩壊と言われて久しいです。大学の先生を地域に派遣するのは構わないです。
それが地域医療崩壊を加速するなら、仕方ないと思うのですが。