見放された患者と共に闘う、密着がん難民コーディネーター

家に帰ってビールを飲んでいたら、TVでこんな特集をやっていました。
何でも、医者に見放された(あるいは医者と考えが合わなくて)途方に暮れた患者さんと寄り添って生きる方だそうです。
その方が活動を始めるきっかけになったのは、前立腺がんに線源を埋め込む治療を希望したとき、担当医がそれを知らなかったことに失望したことだそうです。
彼の言葉「お医者さんも人間だから知らないこともある」。
末期がんの患者さんにホメオパシーを勧める、ホリスティック医療の医師が出てきます。その先生はホメオパチーと現代医療を同時に行うことがよいと話していました。その先生、有名な小説家先生とも共著があるらしいです。

言うまでもないことですが、ホメオパシーは効果が科学的に立証された治療ではありません。Lancetも、メタアナリシスから、その効果はプラセボより優れたものではないと結論づけています。
Aijing Shang et.al. "Are the clinical effects of homoeopathy placebo effects? Comparative study of placebo-controlled trials of homoeopathy and allopathy" The Lancet Volume 366, Issue 9487, 27 August 2005-2 September 2005, Pages 726-732.
その辺の話はNATROM先生が散々されていますので、小生が今更言うことはないです。

きわめて寛大な考え方をすれば、ホメオパチーは、mental healingとしての使い方を模索されてもよいかもしれません。藁をも掴む気持ちで訪れる患者さんに、効果の明らかでない薬を処方し利益を得ることは、道義上許されるのか、という問いには、「現代医療も併用し、患者さんの害のない様にしています」と答えられるわけで。上手いものです。
仮に患者さんが良くなれば、患者さんはホメオパチーに感謝するだろうし、悪くなればあきらめてくれるだろうし。

変わったことをしないとマスコミ受けは良くないのかも知れません。しかし、見放された患者がいれば見放した医者がいるわけで。
最終的な結論は、低医療費政策をする国が悪い、ということでしたが、見終えて疲れた体が重くなりました。