医療者側の反論。

帰って少し眠ったら、元気が出てきました。
トリアージというシステムが有効で、判定者が守られるべきという反論が説得力を持つには、正しくトリアージが行われた場合、現場の混乱を少しでも沈静化させ救命率を上げる効果があった、と論証しなければならないのでしょうか。ぱっと英語の文献を検索した限りではそれらしい物にヒットしなかったです。

日本におけるトリアージの原点は阪神大震災の反省だと思います。
以来十数年、バスがひっくり返ったり、ヘリコプターが飛んできたりと、大掛かりな訓練に参加してきて、何の疑問も持たずタグをむしって来たのですが、実際に想像を絶する大災害に見舞われた時、それがどのくらい役に立つのでしょう?赤タグを付けても、運ぶべき医療機関が壊滅状態だったら?血液がなかったら?医療者も被災者なわけで、100%のパフォーマンスを発揮できる保証は無い。こうして見ると、トリアージという単一の行為を取り上げるのではなく、後方輸送を含めシステム全体を考える必要があります。それは途方も無いことですけど。

大規模な混乱状態の中では、医療側がリソースを確保する為に近隣住民を実力排除するような事態もあるかもしれません。震災の時、群衆がが水タンクを片手にわらわら集まり、兵庫医大の屋上タンクがあっという間に空になり、透析が出来なくなったそうですし。

今の日本人のモラルは世界的にも高いとは思います。でも、混乱状態で平然と振る舞うには、ある程度の打ち合わせというか、自利を抑制する訓練は必要かと思います。そういったことを言っても、マスコミ受けはよくないのでしょうけど。